当事務所では、相続発生後の業務だけでなく、相続発生前の遺言書作成の業務も行っています。
業務を行っている中で、時折、遺言執行者を複数名指定することは可能か、と質問を受けるのですが、当然、数人の遺言執行者を指定することも可能です。
ただ、気をつけたいのは、遺言執行者が複数の場合、その任務の執行は、原則過半数で行うことになります。民法に以下の条文があります。
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第1017条 遺言執行者が数人ある場合には、その任務の執行は、過半数で決する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
2 各遺言執行者は、前項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる。
実際上、過半数で執行するのは何かと不便なことが多いので、各遺言執行者が単独で任務を執行できるようにするため、遺言に、「各遺言執行者は、それぞれ単独で、その任務を執行することができる。」旨記載する方が良いと思います。
ちなみに、ここからは半分私の備忘録ですが、従前、遺言執行者は「相続人の代理人」とみなす、という条文がありましたが、「相続人の代理人」という文言は必ずしも適切ではないと解されていたところ、平成30年の民法改正により、以下の条文のように改められました。
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第1015条 遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生ずる。
また、遺言執行者の復任権についても、原則、やむを得ない事由がなければ認められなかったのですが、以下のように改正されました。
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第1016条 遺言執行者は、自己の責任で第三者にその任務を行わせることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
2 前項本文の場合において、第三者に任務を行わせることについてやむを得ない事由があるときは、遺言執行者は、相続人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う。
早く改正民法が私の頭の中に定着するといいのですが。。。日々勉強です。
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プラスカフェ 相続
京都市左京区 設立
司法書士 山森貴幸