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欠損てん補のための減資

減資の御依頼は少ないので、調べたことを記事にします。

今回は、株式会社における欠損てん補のための減資です。
「欠損」とは、会社法では、その他資本剰余金又はその他利益剰余金がマイナスであることをいいますが、一般的には、その他利益剰余金がマイナスのことを欠損といっています。以下、欠損とはその他利益剰余金がマイナスのことを指します。

欠損を補てんするには、通常、減資を行い、減少した資本金の額を資本準備金とはせずに、「その他資本剰余金」とした上で、その「その他資本剰余金」を利用して「その他利益剰余金」のマイナスを補てんします。これを会社法では「損失の処理」(会社法452条)といいますが、株主総会の議題では「剰余金の処分」といいます。
なお、その他利益剰余金のマイナスは、定時総会で確定した数値に限られ、期中の損失まではてん補することはできません。なので、臨時総会で欠損てん補を行う場合、前期(最終事業年度)の確定欠損額しかてん補することはできず、当期の期中の損失まではてん補することはできません。

上記から、株主総会で減資決議をするのに加えて、剰余金の処分決議も必要であり、また、欠損額以上に、その他資本剰余金をその他利益剰余金に振り替えることはできません。

減資するには例外無く債権者保護手続が必要で、官報公告及び知れている債権者に対して各別の催告を行い、官報公告には決算公告も併せて行う必要があります。
なので、官報公告掲載料金が約15万円~19万円必要になり、また1か月以上の公告期間が必要となることから、手続きするのに、結構な費用と時間がかかります。

司法書士 山森貴幸

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