署名証明書の有効期間
署名証明書の有効期間
私署証書認証方式を「代理権限証書の一部」として考える
⇒ 署名証明書の添付書面としての性質
と、不動産登記令の以下の条文が気になる。
↓
(代表者の資格を証する情報を記載した書面の期間制限等)
第17条 第7条第1項 第1号ロ 又は 第2号 に掲げる情報を記載した書面であって、市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成したものは、作成後三月以内のものでなければならない。
(添付情報)
第7条 登記の申請をする場合には、次に掲げる情報をその申請情報と併せて登記所に提供しなければならない。
一 申請人が法人であるとき(法務省令で定める場合を除く。)は、次に掲げる情報
イ 会社法人等番号(商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第七条(他の法令において準用する場合を含む。)に規定する会社法人等番号をいう。以下このイにおいて同じ。)を有する法人にあっては、当該法人の会社法人等番号
ロ イに規定する法人以外の法人にあっては、当該法人の代表者の資格を証する情報
二 代理人によって登記を申請するとき(法務省令で定める場合を除く。)は、当該代理人の権限を証する情報
しかし、あくまで代理権限証書の「一部」であって、代理権限証書そのものではなく、テイハンの書籍にも、「現行不動産登記法上、有効期間について明文の規定がなく、また、旧不動産登記法下の登記実務では、有効期間の定めがないものとして取り扱われており、現行の不動産登記の実務も、これに従えば足りる」旨の記載がある。また、参考先例として、米国ニューヨーク州の公証人が米国の会社の代表者の資格及び署名を証明した情報は、作成後3月以内のものである必要はない(昭和37年11月27日民事甲第3429号民事局長電報回答)というものがある。
次に、署名証明書方式を「印鑑証明書の代替」として考えると、
不動産登記令(代理人の権限を証する情報を記載した書面への記名押印等)
第18条 委任による代理人によって登記を申請する場合には、申請人又はその代表者は、法務省令で定める場合を除き、当該代理人の権限を証する情報を記載した書面に記名押印しなければならない。復代理人によって申請する場合における代理人についても、同様とする。
2 前項の場合において、代理人(復代理人を含む。)の権限を証する情報を記載した書面には、法務省令で定める場合を除き、同項の規定により記名押印した者(委任による代理人を除く。)の印鑑に関する証明書を添付しなければならない。
3 前項の印鑑に関する証明書は、作成後三月以内のものでなければならない。
が気になるところだが、これもまた、あくまで印鑑証明書の「代替」なので、特に気にする必要はないだろうか(こちらは過去に一度京都本局に照会して有効期間なしの回答を得ている)。
★ まとめとして、渉外不動産登記講義(テイハン発行)に、次のように整理されている。
現行不動産登記規則49条1項1号に定める私署証書認証方式による署名証明書については、有効期間を定める明文規定がないので、有効期間のないものと解して差し支えない。不動産登記令18条2項に規定する印鑑証明書に代わる署名証明書方式による署名証明書の取り扱いについては、同条3項の規定を類推すれば、作成後3月以内のものを添付しなければならないこととなるが、旧不動産登記法下における登記実務では、有効期間のないものとして取り扱われており、現行不動産登記実務においても同様に解して差し支えないものと考えられる。
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司法書士 山森貴幸