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株式分割と基準日

株式分割をしようとする場合、どの時点の株式がその対象となるかについて基準日を定める必要があり(会183Ⅱ①)、基準日を定めたときは、その定めが定款にある場合を除き、当該基準日の2週間前までに公告をしなければならない(会124Ⅲ)。

基準日を定める方法としては、
① 取締役の決定(取締役会設置会社では取締役会決議)
② 定款変更
がある。

①の場合、定款所定の公告方法により基準日公告をすることが必要であり、株式分割をするのに2週間以上の期間がかかる。

②の場合、基準日公告は不要であり、即日で株式分割をすることが可能となる。
ただし、アムスク株主総会決議取消請求事件(東京高判 平27.3.12)で、②の定款の定めは、基準日の2週間前までに存在することが必要であると判示されました。しかし、この判決の解釈は、基準日制度の趣旨(株主名簿名義書換未了の株主に、権利行使のための名義書換の機会を確保すること)を踏まえると、非公開会社においては当然に当てはまるものではないと考えられる(Q&A 商業登記と会社法 P151~153、会社法定款事例集 P311)。

よって、非公開会社においては、即日で株式分割を行うことは可能と考える。

(株式の分割)
第183条 株式会社は、株式の分割をすることができる。
 株式会社は、株式の分割をしようとするときは、その都度、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
 株式の分割により増加する株式の総数の株式の分割前の発行済株式(種類株式発行会社にあっては、第三号の種類の発行済株式)の総数に対する割合及び当該株式の分割に係る基準日
 株式の分割がその効力を生ずる日
 株式会社が種類株式発行会社である場合には、分割する株式の種類

(基準日)
第124条 株式会社は、一定の日(以下この章において「基準日」という。)を定めて、基準日において株主名簿に記載され、又は記録されている株主(以下この条において「基準日株主」という。)をその権利を行使することができる者と定めることができる。
 基準日を定める場合には、株式会社は、基準日株主が行使することができる権利(基準日から3箇月以内に行使するものに限る。)の内容を定めなければならない。
 株式会社は、基準日を定めたときは、当該基準日の2週間前までに、当該基準日及び前項の規定により定めた事項を公告しなければならない。ただし、定款に当該基準日及び当該事項について定めがあるときは、この限りでない。
 基準日株主が行使することができる権利が株主総会又は種類株主総会における議決権である場合には、株式会社は、当該基準日後に株式を取得した者の全部又は一部を当該権利を行使することができる者と定めることができる。ただし、当該株式の基準日株主の権利を害することができない。
 第1項から第3項までの規定は、第149条第1項に規定する登録株式質権者について準用する。

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プラスカフェ 相続
京都市左京区 設立
司法書士 山森貴幸

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