代襲相続人は、被相続人の直系卑属に限られる。
民法(子及びその代襲者等の相続権)
第887条 被相続人の子は、相続人となる。
2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
なので、養子の子で縁組前にすでに出生していた者は、代襲相続権を有しない。
これに対して、縁組後に出生した者は、養親の直系卑属にあたるので、代襲相続権を有する(大判昭7.5.11)。
珍しく国税庁の質疑応答事例にもこんなものが
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養子縁組前に出生した養子の子の代襲相続権の有無|国税庁 (nta.go.jp)
気を付けたい裁判例が、大阪高裁平1.8.10
養子縁組前の養子の子が養親の実子の子でもあって養親の直系卑属にあたる場合には、養親を被相続人とする相続において、右養子の子は養親より先に死亡した養子を代襲して相続人となる。
Xの実子Aが、Bと婚姻、AとBの間には子Yがいる。
この状態で、XとBが養子縁組をし、その後、Bが死亡。
Yは、養子縁組前に生まれた子なので、Bの側からみれば、Xの直系卑属ではないが、YはXの実子であるAの子でもあるので、Aの側からみれば、Xの直系卑属となり、Xの代襲相続人となる。
ちなみに、民法887条2項但書において、被相続人の直系卑属でない者を代襲相続人の範囲から排除した理由は、血統継続の思想を尊重するとともに、親族共同体的な観点から相続人の範囲を親族内の者に限定することが相当であると考えられたこと、とくに単身養子の場合において、縁組前の養子の子が他で生活していて養親とはなんら関わりがないにも関わらず、これに代襲相続権を与えることは不合理であるからこれを排除する必要があったことによるものと思われる(前記大阪高裁平1.8.10)。
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司法書士 山森貴幸