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商号譲渡人の債務に関する免責の登記

会社法(譲渡会社の商号を使用した譲受会社の責任等)
第22条 譲受会社が譲渡会社の商号を引き続き使用する場合には、その譲受会社も、譲渡会社の事業によって生じた債務を弁済する責任を負う。
2 前項の規定は、事業を譲り受けた後、遅滞なく、譲受会社がその本店の所在地において譲渡会社の債務を弁済する責任を負わない旨を登記した場合には、適用しない。事業を譲り受けた後、遅滞なく、譲受会社及び譲渡会社から第三者に対しその旨の通知をした場合において、その通知を受けた第三者についても、同様とする。
3 譲受会社が第一項の規定により譲渡会社の債務を弁済する責任を負う場合には、譲渡会社の責任は、事業を譲渡した日後2年以内に請求又は請求の予告をしない債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。

ここで、事業譲渡に際し、商号の続用がなくて屋号のみを続用する場合でも、免責の登記は可能(登研674、コンメンタールP100、商業・法人登記実務相談事例1000問P45、商業登記記録例集P56)。
免責の登記の内容として屋号を記載する必要はない(登研674)が、屋号を登記できている実例もあるそうなので、その場合は、法務局相談。

屋号のみを続用する場合
  ↓
登記の事由 
商号譲渡人の債務に関する免責

登記すべき事項 
商号譲渡人の債務に関する免責
当会社は、年月日事業の譲渡を受けたが、譲渡会社である株式会社Aの債務を弁済する責任を負わない。
(大阪法務局確認済み、譲渡契約後譲渡会社が商号変更している場合は、登記申請日時点の現商号でしか登記不可)

屋号を記載する場合、
当会社は、年月日事業の譲渡を受けたが、譲渡会社である株式会社A(事業上使用される名称B、C)の債務を弁済する責任を負わない。(大阪法務局確認済み)

登録免許税 3万円(ツ)
添付書面
(コンメンタールP102)
譲渡会社の承諾書(会社実印押印)
譲渡会社の管轄が異なる場合は、譲渡会社の印鑑証明書、登記事項証明書又は会社法人等番号の記載
譲受会社の委任状


承諾書で参考になるものは、事業譲渡の理論・実務と書式P240

商業登記法(営業又は事業の譲渡の際の免責の登記)
第31条 商法第17条第2項前段及び会社法第22条第2項前段の登記は、譲受人の申請によってする。
2 前項の登記の申請書には、譲渡人の承諾書を添付しなければならない。

商業登記規則(商号の譲渡の登記等の添付書面)
第52条の2 法第30条第1項及び法第31条第1項の登記の申請書には、譲渡人の承諾書に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。ただし、当該印鑑と当該譲渡人が登記所に提出している印鑑とが同一であるときは、この限りでない。

<追記>
商業登記規則52条の2は譲渡人が個人商人であることを想定しており、譲渡人が法人である場合には、本文は適用されず、ただし書きのみ適用があり、譲渡会社の印鑑証明書は、管轄を問わず、そもそも添付不要なのでは?また、譲渡会社の登記事項証明書は添付根拠が無いため、添付不要なのでは?
⇒ 譲渡会社の印鑑証明書と登記事項証明書、ともに添付不要(大阪法務局回答)

※ 本ブログは私見を含んでおりますのでお問い合わせは一切受け付けません。

プラスカフェ 相続
京都市左京区 設立
司法書士 山森貴幸

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