自己株式の取得
自己株式の取得
株式会社は、次の場合に限り、自己株式を取得することができる(会155)。
①取得条項付株式の取得
②譲渡制限株式の取得
③株主との合意による有償取得(会156Ⅰ、157Ⅰ)
④取得請求権付株式の取得
⑤全部取得条項付種類株式の取得
⑥相続人等に対する売渡請求による取得
⑦単元未満株式の買取請求
⑧所在不明株主の株式の買い取り
⑨端数株の処理による買い取り
⑩事業の全部譲受けの際の当該他の会社が有する株式の取得
⑪合併消滅会社からの株式の取得
⑫吸収分割会社からの株式の取得
⑬その他法務省令で定める場合
よくありそうなのが、③の場合と、⑬の中の無償取得の場合ですかね。
③の場合には財源規制があり(会461Ⅰ②③)、無償取得の場合には財源規制は無い。
(株式の取得に関する事項の決定)
第156条 株式会社が株主との合意により当該株式会社の株式を有償で取得するには、あらかじめ、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。ただし、第三号の期間は、1年を超えることができない。
一 取得する株式の数
二 株式を取得するのと引換えに交付する金銭等(当該株式会社の株式等を除く。)の内容及びその総額
三 株式を取得することができる期間
(取得価格等の決定)
第157条 株式会社は、前条第1項の規定による決定に従い株式を取得しようとするときは、その都度、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 取得する株式の数
二 株式一株を取得するのと引換えに交付する金銭等の内容及び数若しくは額又はこれらの算定方法
三 株式を取得するのと引換えに交付する金銭等の総額
四 株式の譲渡しの申込みの期日
(配当等の制限)
第461条 次に掲げる行為により株主に対して交付する金銭等(当該株式会社の株式を除く。)の帳簿価額の総額は、当該行為がその効力を生ずる日における分配可能額を超えてはならない。
二 第156条第1項の規定による決定に基づく当該株式会社の株式の取得
三 第157条第1項の規定による決定に基づく当該株式会社の株式の取得
2 前項に規定する「分配可能額」とは、第一号及び第二号に掲げる額の合計額から第三号から第六号までに掲げる額の合計額を減じて得た額をいう。
一 剰余金の額
二 臨時計算書類につき第441条第4項の承認を受けた場合における次に掲げる額
イ 第441条第1項第二号の期間の利益の額として法務省令で定める各勘定科目に計上した額の合計額
ロ 第441条第1項第二号の期間内に自己株式を処分した場合における当該自己株式の対価の額
三 自己株式の帳簿価額
四 最終事業年度の末日後に自己株式を処分した場合における当該自己株式の対価の額
五 第二号に規定する場合における第441条第1項第二号の期間の損失の額として法務省令で定める各勘定科目に計上した額の合計額
六 前三号に掲げるもののほか、法務省令で定める各勘定科目に計上した額の合計額
会社法施行規則
(自己の株式を取得することができる場合)
第27条 法第155条第十三号に規定する法務省令で定める場合は、次に掲げる場合とする。
一 当該株式会社の株式を無償で取得する場合
自己株式の取得について、財源規制、取得方法等の規制が課せられている理由
①株主に対する出資の払戻しとなり、会社債権者を害する。
②特定の株主から高い価格で買い取ると、株主平等の原則に反する。
③会社が自己株式を取得した分だけ、議決権の総数は減少するため、会社経営者等が間接的に支配を強化することができる。
④自己株式の売買によって相場操作が行われる可能性がある。
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プラスカフェ 相続
京都市左京区 設立
司法書士 山森貴幸