Aでは借入が受けられないので、B名義で不動産を購入し、Bを債務者として銀行から借入を受けた。
Aのお金でB名義の債務を全額弁済したため、委任契約を終了させ、BからAに所有権の登記名義を移転する。
AB間に委任契約が存するとしても、BはAの代理人として不動産を取得したのではありません。
委任契約が代理権を伴うと、受任者Bが取得した所有権は、委任者Aに直接に帰属することになるので、民法646条2項の場合とは、BにはAの代理権が無い場合で、BがAのためにBの名で取得した所有権を、再度Aに移転することを要する場合と考えられます。(元登記官からみた登記原因証明情報 P127-129)
民法 第646条(受任者による受取物の引渡し等)
受任者は、委任事務を処理するに当たって受け取った金銭その他の物を委任者に引き渡さなければならない。その収取した果実についても、同様とする。
2 受任者は、委任者のために自己の名で取得した権利を委任者に移転しなければならない。
民法646条2項による移転の原因日付(登研526)
民法646条2項による移転の原因日付は、当該移転の日につき特約があるときはその日を、それ以外の場合には登記申請の日を記載する。
民法646条2項の規定による委任者への所有権移転の登記原因(登研520)
民法646条2項の規定により委任者へ所有権移転の登記をする場合、その登記原因を「委任の終了」とするのは相当でない。
Aの信用力のみでは融資が受けられないので、AB間で不動産購入について委任契約を締結し、BがAとともに売買契約の当事者となり、AB共有名義、AB連帯債務者として融資を受け、その後、Aが完済して、B持分全部移転登記をする場合も同様です。(登記官からみた登記原因証明情報作成のポイント P89-90)
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司法書士 山森貴幸