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合同会社から株式会社への組織変更

組織変更手続には、2か月以上の期間を要します。
必要書類は、定款、決算書、役員の印鑑証明書、新しい会社実印です。

① 組織変更計画書・定款作成

組織変更計画で定める事項
・目的、商号、本店の所在地及び発行可能株式総数
・定款で定める事項
・役員の氏名
・合同会社の社員が取得する株式の数
・合同会社の社員に対する株式の割当てに関する事項
・効力発生日


組織変更計画書に、印紙は不要。

株式を合同会社の社員に対して割り当てる場合に、社員の出資の価額に対応して定める必要はない。したがって、組織変更の前後でそれぞれの持分割合や出資割合が変更されるような組織変更計画を作成することも当然にできる。ただし、この場合における株主又は社員の課税関係については注意を要する。(合同会社の法務と税務 P192)また、社員に対して、株式以外の財産を交付することも認められているが、こちらも上記と同様、課税の問題が生じるので、実務上はほとんど行われない。

会社法(持分会社の組織変更計画)
第746条 持分会社が組織変更をする場合には、当該持分会社は、組織変更計画において、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 組織変更後の株式会社の目的、商号、本店の所在地及び発行可能株式総数
二 前号に掲げるもののほか、組織変更後株式会社の定款で定める事項
三 組織変更後株式会社の取締役の氏名
四 次のイからハまでに掲げる場合の区分に応じ、当該イからハまでに定める事項
イ 組織変更後株式会社が会計参与設置会社である場合 組織変更後株式会社の会計参与の氏名又は名称
ロ 組織変更後株式会社が監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含む。)である場合 組織変更後株式会社の監査役の氏名
ハ 組織変更後株式会社が会計監査人設置会社である場合 組織変更後株式会社の会計監査人の氏名又は名称
五 組織変更をする持分会社の社員が組織変更に際して取得する組織変更後株式会社の株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)又はその数の算定方法
六 組織変更をする持分会社の社員に対する前号の株式の割当てに関する事項
七 組織変更後株式会社が組織変更に際して組織変更をする持分会社の社員に対してその持分に代わる金銭等(組織変更後株式会社の株式を除く。以下この号及び次号において同じ。)を交付するときは、当該金銭等についての次に掲げる事項
イ 当該金銭等が組織変更後株式会社の社債(新株予約権付社債についてのものを除く。)であるときは、当該社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法
ロ 当該金銭等が組織変更後株式会社の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)であるときは、当該新株予約権の内容及び数又はその算定方法
ハ 当該金銭等が組織変更後株式会社の新株予約権付社債であるときは、当該新株予約権付社債についてのイに規定する事項及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権についてのロに規定する事項
ニ 当該金銭等が組織変更後株式会社の社債等(社債及び新株予約権をいう。以下この編において同じ。)以外の財産であるときは、当該財産の内容及び数若しくは額又はこれらの算定方法
八 前号に規定する場合には、組織変更をする持分会社の社員に対する同号の金銭等の割当てに関する事項
九 効力発生日

② 債権者保護手続

公告・催告の必要的記載事項
・組織変更をする旨
・債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨


株式会社ではないので最終の貸借対照表に触れる必要はない。したがって、官報公告と並行して個別催告もすぐに進めると時間短縮。
組織変更後の商号を記載する必要もない。

第781条 組織変更をする持分会社は、効力発生日の前日までに、組織変更計画について当該持分会社の総社員の同意を得なければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。
2 第779条(第2項第二号を除く。)及び前条の規定は、組織変更をする持分会社について準用する。この場合において、第779条第3項中「組織変更をする株式会社」とあるのは「組織変更をする持分会社(合同会社に限る。)」と、前条第3項中「及び第745条」とあるのは「並びに第747条及び次条第1項」と読み替えるものとする。
(債権者の異議)
第779条 組織変更をする株式会社の債権者は、当該株式会社に対し、組織変更について異議を述べることができる。
2 組織変更をする株式会社は、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。ただし、第三号の期間は、1箇月を下ることができない。
一 組織変更をする旨
二 組織変更をする株式会社の計算書類(第四百三十五条第二項に規定する計算書類をいう。以下この章において同じ。)に関する事項として法務省令で定めるもの
三 債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨

③ 総社員の同意

効力発生日の前日までに総社員の同意を得る。
総社員が1枚の書面に連名で同意したものでも、個別に同意したものが全社員分揃った状態でも差し支えないと考える。(会社法務書式集 P343)

④ 登記申請

組織変更による設立登記(2-1)
組織変更による解散登記(2-2)
を連件申請する。

代表取締役を取締役会で選定する、又は取締役会非設置会社が取締役の互選や株主総会決議で選定するときは、組織変更の効力発生日以降でないと選定できない(取締役や株主が存在していないから。会社法務書式集 P348参照)。
定款の附則で代表取締役を選定することもできるが、定款に組織変更後の株式会社の代表取締役の選定方法が別に定められている場合は、組織変更後の最初の代表取締役に限る旨を明示しておく必要がある。(法務局の申請書雛形、会社法務書式集 P343)なお、定款の附則で代表取締役を選定する場合、代表取締役の就任承諾書が必要となる。(会社法務書式集 P349、おそらく設立と同様の取扱いのため。商業登記申請MEMO持分会社編 P195-197参照)

議事録の印鑑証明書は不要(設立登記の形式なので、取締役や代表取締役の就任年月日も登記されず、代表者就任による変更登記ではないから)
就任承諾書の印鑑証明書も不要
就任承諾書と本人確認証明書は必要。(商業登記法コンメンタール P424)

資本金の額は、会社計算規則の規定により、組織変更の直前の合同会社の資本金の額と同額だとされている(会計規34①)。組織変更というのは会社の実態を変えてはいけないものだからである。(商業登記法コンメンタール P426)

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プラスカフェ 相続
京都市左京区 設立
司法書士 山森貴幸

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