併存させておく必要のない2個の法律上の地位が、同一人に帰属することを混同という。民法179条1項は、「同一物について所有権及び他の物権が同一人に帰属したときは、当該他の物権は、消滅する。ただし、その物又は当該他の物権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない。」と定めている。例えば、Aが根抵当権設定登記をしているB所有の不動産を、AがBから買い受けて所有者となった場合(あるいは相続した場合)には、この2つの権利は同一人に帰属したこととなり存続させておく価値がないから、原則として、根抵当権(「他の物件」)は混同によって消滅する。(根抵当権の法律と登記 P497)
これは、物権混同の話(民179)だから、確定前後を問わない。
一般に申請される「混同」による根抵当権の抹消は、根抵当権自体の物権の混同と考えられます。しかし、元本の確定した根抵当権では、普通抵当権と同様に、被担保債権との付従性を取り戻しているので、被担保債権の混同による根抵当権の消滅も考えられるところです。そうすると、ここでも元本の確定の登記の要否と、その原因の表記方法が問題となると考えられます。(元登記官からみた抹消登記のポイント P165)
民法
(物権混同)
第179条 同一物について所有権及び他の物権が同一人に帰属したときは、当該他の物権は、消滅する。ただし、その物又は当該他の物権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない。
(債権混同)
第520条 債権及び債務が同一人に帰属したときは、その債権は、消滅する。ただし、その債権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない。
物権混同と債権混同を混同しないで下さい。
また、混同の例外には注意が必要です。
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司法書士 山森貴幸