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商工中金の(根)抵当権抹消

商工中金の根抵当権抹消登記にあたって、抹消書類を紛失しており、決済を急いでるため、本人確認情報作成で対応しようとしたが、支店担当者に、代表取締役の会社実印の押印は不可能と言われた。

その代わり、支配人の会社実印が登録されているため、解除証書と登記委任状に支配人の会社実印を押印してもらい、支配人と面談して、本人確認情報を作成しようと考えた。

しかし、登記情報を見ると、なぜか支配人の住所が、支配人を置いた営業所所在地と同一で登記されている…なぜ??プライバシーへの配慮かと思ったが、どうやって登記したんだ。

よくよく考えると、支配人の選任は、取締役会決議(又は取締役の決定)で足り、支配人の就任承諾書は不要(支配人の選任行為は、雇用関係にある使用人に対する一方的な代理権の授与行為であるとされているから。)で、住所の裏付け資料は不要。
さらに、印鑑届の際は、支配人個人の実印は押印せず、会社の代表者の保証書を添付する。

何でも登記できちゃいますね。。。

商業登記規則
(印鑑の提出等)
第9条 印鑑の提出は、当該印鑑を明らかにした書面をもってしなければならない。この場合においては、次の各号に掲げる印鑑を提出する者は、その書面にそれぞれ当該各号に定める事項のほか、氏名、住所、年月日及び登記所の表示を記載し、押印(第5項第二号イの場合において、当該各号の印鑑を提出する者が押印するときは、当該登記所に提出している印鑑に係るものに限る。)しなければならない。
(一から二は省略)
三 支配人
支配人である旨、氏名、出生の年月日、支配人を置いた営業所及び商人の氏名又は商号

5 第1項の書面には、次の各号に掲げる印鑑を提出する者の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める書面を添付しなければならない。ただし、同項の書面の提出を受ける登記所において登記がされている法人又は同項の書面に会社法人等番号を記載した法人の代表者の資格を証する書面については、この限りでない。
(一から二は省略)
三 支配人 次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、当該イ又はロに定める書面
イ 商人(当該商人が会社である場合にあっては、当該会社の代表者)が登記所に印鑑を提出している場合 商人が支配人の印鑑に相違ないことを保証した書面で当該登記所に提出している印鑑を押印したもの

でも、これ、支配人の本人確認書類と登記簿の住所が一致しないので、本人確認情報が完全に引っかかりますよね。同名異人と面談していることになる。

支配人から業務権限証書を取得して課長等の役職者と面談しようとも考えましたが、会社から包括的代理権が与えられているが雇用契約に過ぎない支配人に復代理人の選任権限があるのか。本人確認情報の内容について法務局に照会をかけるわけにもいかないので、結局、諦めて、事前通知で先に抹消することにしました。

ちなみに、商工中金は、平成20年10月1日に、株式会社商工中金に組織変更していますが、担保権の抹消登記では、変更証明書を添付しないで登記申請ができることになっています(平成20年9月12日民二2473)。

会社法
(支配人)
第10条 会社は、支配人を選任し、その本店又は支店において、その事業を行わせることができる。
(支配人の代理権)
第11条 支配人は、会社に代わってその事業に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
2 支配人は、他の使用人を選任し、又は解任することができる。
3 支配人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

※ 本ブログは私見を含んでおりますのでお問い合わせは一切受け付けません。

プラスカフェ 相続
京都市左京区 設立
司法書士 山森貴幸

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