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債務超過事業を承継する分社型新設分割

株主資本等変動額がマイナスになるので、資本金0円、その他利益剰余金マイナスの会社が設立される。(計算実務 P263-264)

債務超過会社が新設分割を行い、債務超過の新設会社を設立し、その新設会社の設立時の資本金、資本準備金について「0円」とすることは可能でしょうか?
⇒ 私見としては、可能です。ただし、その他利益剰余金はマイナスになります。(実務相談事例1000問 P485)

分割会社では、新設会社の株式価値にマイナスがあり得ないことを強調し、それを変更するには、差額調整勘定である「のれん」でも使うしかないですが、簿価取引で株式対価に対応する分にまで、のれんを計上させるのは行き過ぎなので、

会社計算規則 第12条
会社は、吸収分割、株式交換、株式交付、新設分割、株式移転又は事業の譲渡の対価として株式又は持分を取得する場合において、当該株式又は持分に係る適正な額の特別勘定を負債として計上することができる。

の規定により、株式価値をマイナスとみて、株式の特別勘定として、負債の部に計上する。(計算実務 P249-250)

債務超過事業を承継させた場合には、乙のその他利益剰余金がマイナスとなり、資本金の額は0円となる。★注:債務超過事業を承継させた場合に、分割会社の甲では負債の部に乙株式の特別勘定が設けられる。(商業登記全書 組織再編の手続 P320-321)

会社計算規則
(単独新設分割の場合における新設分割設立会社の株主資本等)
第49条 新設分割設立会社の設立時における株主資本等の総額は、新設型再編対象財産の新設分割会社における新設分割の直前の帳簿価額を基礎として算定する方法に従い定まる額(株主資本等変動額という。)とする。
2 前項の場合には、新設分割設立会社の資本金及び資本剰余金の額は、株主資本等変動額の範囲内で、新設分割会社が新設分割計画の定めに従いそれぞれ定めた額とし、利益剰余金の額は零とする。ただし、株主資本等変動額が0未満の場合には、当該株主資本等変動額をその他利益剰余金の額とし、資本金、資本剰余金及び利益準備金の額は0とする。

※ 本ブログは私見を含んでおりますのでお問い合わせは一切受け付けません。

プラスカフェ 相続
京都市左京区 設立
司法書士 山森貴幸

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