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再転相続の定義とその熟慮期間

祖父A、父B、子C

再転相続とは、Aの相続が発生し、その相続人Bが、その熟慮期間中(相続放棄や単純承認をする前)に死亡した場合をいいます。

民法916条は、再転相続の場合の熟慮期間の特例です。

民法
(相続の承認又は放棄をすべき期間)
第915条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
2 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。
第916条 相続人が相続の承認又は放棄をしないで死亡したときは、前条第1項の期間は、その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から起算する。

Bの相続についての熟慮期間は、原則どおり、Bの相続開始及び自己(C)が相続人であることを知った時から3か月ですが、Aの相続についての熟慮期間が問題となります。

この点、916条の「その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、相続の承認又は放棄をしないで死亡した者の相続人が、当該死亡した者からの相続により、当該死亡した者が承認又は放棄をしなかった相続における相続人としての地位を、自己が承継した事実を知った時をいうとしています(最判令1.8.9)。

つまり、Bの相続については、Bの死亡を知った時から3か月、Aの相続については、Aの死亡を知った時から3か月でカウントします。

よって、再転相続とは、数次相続とは異なるものであり、民法921条2号により、熟慮期間の徒過により単純承認をしたものとみなされることから、短期間に連続して相続が発生した場合のレアケースといえます。

(法定単純承認)
第921条 次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
一 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第602条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。
二 相続人が第915条第1項の期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。
三 相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。

cf. 代襲相続と再転相続に関する相続放棄

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プラスカフェ 相続
京都市左京区 設立
司法書士 山森貴幸






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