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信託法条文 第四章 受益者等(遺言代用信託)

第一節 受益者の権利の取得及び行使

(受益権の取得)
第88条 信託行為の定めにより受益者となるべき者として指定された者は、当然に受益権を取得する。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
2 受託者は、前項に規定する受益者となるべき者として指定された者が同項の規定により受益権を取得したことを知らないときは、その者に対し、遅滞なく、その旨を通知しなければならない。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

(受益者指定権等)
第89条 受益者を指定し、又はこれを変更する権利を有する者の定めのある信託においては、受益者指定権等は、受託者に対する意思表示によって行使する。
2 前項の規定にかかわらず、受益者指定権等は、遺言によって行使することができる。
3 前項の規定により遺言によって受益者指定権等が行使された場合において、受託者がこれを知らないときは、これにより受益者となったことをもって当該受託者に対抗することができない。
4 受託者は、受益者を変更する権利が行使されたことにより受益者であった者がその受益権を失ったときは、その者に対し、遅滞なく、その旨を通知しなければならない。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
5 受益者指定権等は、相続によって承継されない。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
6 受益者指定権等を有する者が受託者である場合における第1項の規定の適用については、同項中「受託者」とあるのは、「受益者となるべき者」とする。

委託者の死亡の時に受益権を取得する旨の定めのある信託等の特例)
第90条 次の各号に掲げる信託においては、当該各号の委託者は、受益者を変更する権利を有する。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
一 委託者の死亡の時に受益者となるべき者として指定された者が受益権を取得する旨の定めのある信託
二 委託者の死亡の時以後に受益者が信託財産に係る給付を受ける旨の定めのある信託

2 前項第二号の受益者は、同号の委託者が死亡するまでは、受益者としての権利を有しない。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

(受益者の死亡により他の者が新たに受益権を取得する旨の定めのある信託の特例)
第91条 受益者の死亡により、当該受益者の有する受益権が消滅し、他の者が新たな受益権を取得する旨の定め(受益者の死亡により順次他の者が受益権を取得する旨の定めを含む。)のある信託は、当該信託がされた時から30年を経過した時以後に現に存する受益者が当該定めにより受益権を取得した場合であって当該受益者が死亡するまで又は当該受益権が消滅するまでの間、その効力を有する。

(信託行為の定めによる受益者の権利行使の制限の禁止)
第92条 受益者による次に掲げる権利の行使は、信託行為の定めにより制限することができない。
一 この法律の規定による裁判所に対する申立権
二 第5条第1項の規定による催告権
三 第23条第5項又は第6項の規定による異議を主張する権利
四 第24条第1項の規定による支払の請求権
五 第27条第1項又は第2項(これらの規定を第75条第4項において準用する場合を含む。)の規定による取消権
六 第31条第6項又は第7項の規定による取消権
七 第36条の規定による報告を求める権利
八 第38条第1項又は第6項の規定による閲覧又は謄写の請求権
九 第40条の規定による損失のてん補又は原状の回復の請求権
十 第41条の規定による損失のてん補又は原状の回復の請求権
十一 第44条の規定による差止めの請求権
十二 第45条第1項の規定による支払の請求権
十三 第59条第5項の規定による差止めの請求権
十四 第60条第3項又は第5項の規定による差止めの請求権
十五 第61条第1項の規定による支払の請求権
十六 第62条第2項の規定による催告権
十七 第99条第1項の規定による受益権を放棄する権利
十八 第103条第1項又は第2項の規定による受益権取得請求権
十九 第131条第2項の規定による催告権
二十 第138条第2項の規定による催告権
二十一 第187条第1項の規定による交付又は提供の請求権
二十二 第190条第2項の規定による閲覧又は謄写の請求権
二十三 第198条第1項の規定による記載又は記録の請求権
二十四 第226条第1項の規定による金銭のてん補又は支払の請求権
二十五 第228条第1項の規定による金銭のてん補又は支払の請求権
二十六 第254条第1項の規定による損失のてん補の請求権

第二節 受益権等

第一款 受益権の譲渡等

(受益権の譲渡性)
第93条 受益者は、その有する受益権を譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2 前項の規定にかかわらず、受益権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の信託行為の定め(譲渡制限の定め)は、その譲渡制限の定めがされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対抗することができる。

第94条~第98条(省略)

第二款 受益権の放棄

第99条 受益者は、受託者に対し、受益権を放棄する旨の意思表示をすることができる。ただし、受益者が信託行為の当事者である場合は、この限りでない。
2 受益者は、前項の規定による意思表示をしたときは、当初から受益権を有していなかったものとみなす。ただし、第三者の権利を害することはできない。

第三款 受益債権

(受益債権に係る受託者の責任)
第100条 受益債権に係る債務については、受託者は、信託財産に属する財産のみをもってこれを履行する責任を負う。
(受益債権と信託債権との関係)
第101条 受益債権は、信託債権に後れる。
(受益債権の期間の制限)
第102条 受益債権の消滅時効は、次項及び第3項に定める事項を除き、債権の消滅時効の例による。
2 受益債権の消滅時効は、受益者が受益者としての指定を受けたことを知るに至るまでの間は、進行しない。
3 受益債権の消滅時効は、次に掲げる場合に限り、援用することができる。
一 受託者が、消滅時効の期間の経過後、遅滞なく、受益者に対し受益債権の存在及びその内容を相当の期間を定めて通知し、かつ、受益者からその期間内に履行の請求を受けなかったとき。
二 消滅時効の期間の経過時において受益者の所在が不明であるとき、その他信託行為の定め、受益者の状況、関係資料の滅失その他の事情に照らして、受益者に対し前号の規定による通知をしないことについて正当な理由があるとき。
4 受益債権は、これを行使することができる時から20年を経過したときは、消滅する。

第四款 受益権取得請求権

(受益権取得請求)
第103条 次に掲げる事項に係る信託の変更(重要な信託の変更)がされる場合には、これにより損害を受けるおそれのある受益者は、受託者に対し、自己の有する受益権を公正な価格で取得することを請求することができる。ただし、第一号又は第二号に掲げる事項に係る信託の変更がされる場合にあっては、これにより損害を受けるおそれのあることを要しない。
一 信託の目的の変更
二 受益権の譲渡の制限
三 受託者の義務の全部又は一部の減免(当該減免について、その範囲及びその意思決定の方法につき信託行為に定めがある場合を除く。)
四 受益債権の内容の変更(当該内容の変更について、その範囲及びその意思決定の方法につき信託行為に定めがある場合を除く。)
五 信託行為において定めた事項
2~8(省略)
第104条(省略)

第三節 2人以上の受益者による意思決定の方法の特例

第一款 総則
第105条 受益者が2人以上ある信託における受益者の意思決定(第92条各号に掲げる権利の行使に係るものを除く。)は、すべての受益者の一致によってこれを決する。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
2 前項ただし書の場合において、信託行為に受益者集会における多数決による旨の定めがあるときは、次款の定めるところによる。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
3~4(省略)

第二款 受益者集会

(受益者集会の招集)
第106条 受益者集会は、必要がある場合には、いつでも、招集することができる。
2 受益者集会は、受託者(信託監督人が現に存する場合にあっては、受託者又は信託監督人)が招集する。

第107条~第122条(省略)

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