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ほとんど利用されることのない限定承認

限定承認した相続人といえども、被相続人に属していた債務の全額を承継するのであり、ただ債務の引当てとして、相続財産を限度とする有限責任を負うにすぎない。(大判昭7.6.2)
つまり、消極財産が積極財産を上回る場合であっても、相続人は債務全額を承継し、相続によって得た積極財産の限度で責任を負う(限定されるのは、債務ではなく、責任)ことになる。

債務超過であっても、相続財産の中に、生活基盤となっている自宅や思い出のある実家、被相続人の経営する会社の株式など、どうしても手放したくない財産がある場合、相続人は、競売による換価をしないで、鑑定評価額を自己の固有財産から支払えば、優先的に買い取ることができる(先買権)。限定承認の最大のメリットをいえるかもしれない。

限定承認をすると、税務上、被相続人から相続人に資産の譲渡があったものとみなされ、譲渡所得税が課税される場合があり、準確定申告を相続人が行う必要がある。この譲渡所得税は、被相続人が支払うべきものであるので、その分、相続財産が目減りすることになる。

第二款 限定承認
(限定承認)
第922条 相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をすることができる。
(相続債権者及び受遺者に対する公告及び催告)
第927条 限定承認者は、限定承認をした後5日以内に、すべての相続債権者及び受遺者に対し、限定承認をしたこと及び一定の期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、2箇月を下ることができない。2(省略)
3 限定承認者は、知れている相続債権者及び受遺者には、各別にその申出の催告をしなければならない。
4 第1項の規定による公告は、官報に掲載してする。
(公告期間満了後の弁済)
第929条 第927条第1項の期間が満了した後は、限定承認者は、相続財産をもって、その期間内に同項の申出をした相続債権者その他知れている相続債権者に、それぞれその債権額の割合に応じて弁済をしなければならない。ただし、優先権を有する債権者の権利を害することはできない。
(受遺者に対する弁済)
第931条 限定承認者は、前2条の規定に従って各相続債権者に弁済をした後でなければ、受遺者に弁済をすることができない。
(弁済のための相続財産の換価)
第932条 前3条の規定に従って弁済をするにつき相続財産を売却する必要があるときは、限定承認者は、これを競売に付さなければならない。ただし、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従い相続財産の全部又は一部の価額を弁済して、その競売を止めることができる。
(相続債権者及び受遺者の換価手続への参加)
第933条 相続債権者及び受遺者は、自己の費用で、相続財産の競売又は鑑定に参加することができる。この場合においては、第260条第2項の規定を準用する。
(相続人が数人ある場合の相続財産の清算人)
第936条 相続人が数人ある場合には、家庭裁判所は、相続人の中から、相続財産の清算人を選任しなければならない。
2 前項の相続財産の清算人は、相続人のために、これに代わって、相続財産の管理及び債務の弁済に必要な一切の行為をする。
3 第926条から前条までの規定は、第1項の相続財産の清算人について準用する。この場合において、第927条第1項中「限定承認をした後5日以内」とあるのは、「その相続財産の清算人の選任があった後10日以内」と読み替えるものとする。

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プラスカフェ 相続
京都市左京区 設立
司法書士 山森貴幸

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