受益権は、「受益債権」と「監督的権利」から構成される。
受益債権は、信託行為に基づいて受託者が受益者に対し負う債務であって、信託財産に係る給付をすべきものに係る債権なので、具体的内容は信託契約において定められるものであるため、信託条項において受益債権の内容を定める必要があります。
たとえば、
信託不動産を生活の本拠として使用する権利
信託不動産を第三者に賃貸したことによる賃料から給付を受ける権利
信託不動産が処分された場合には、その対価から給付を受ける権利
信託預金から給付を受ける権利
信託金融資産から給付を受ける権利
など。
また、受益権も財産権であるため、他の財産権と同様に相続の対象となります。
しかし、通常は、信託の終了事由として、委託者兼受益者の死亡が定められているため、受益権は相続の対象とはならず、残余財産の帰属権利者がみなし受益者として機能します。
ただし、信託の財産承継機能は遺贈や死因贈与に類似しており、相続人が有する遺留分との関係において、遺留分に関する民法の規定が類推適用されると考えられることから、この場合でも、やはり遺留分の侵害に十分注意しないといけません。
cf. 遺言代用信託とは?
cf. 後継ぎ遺贈型の受益者連続信託
第2条
7 この法律において「受益権」とは、信託行為に基づいて受託者が受益者に対し負う債務であって信託財産に属する財産の引渡しその他の信託財産に係る給付をすべきものに係る債権(受益債権)及びこれを確保するためにこの法律の規定に基づいて受託者その他の者に対し一定の行為を求めることができる権利をいう。
(残余財産の帰属)
第182条 残余財産は、次に掲げる者に帰属する。
一 信託行為において残余財産の給付を内容とする受益債権に係る受益者(残余財産受益者)となるべき者として指定された者
二 信託行為において残余財産の帰属すべき者(帰属権利者)となるべき者として指定された者
2 信託行為に残余財産受益者若しくは帰属権利者の指定に関する定めがない場合には、信託行為に委託者又はその相続人を帰属権利者として指定する旨の定めがあったものとみなす。
3 前2項の規定により残余財産の帰属が定まらないときは、残余財産は、清算受託者に帰属する。
第183条
6 帰属権利者は、信託の清算中は、受益者とみなす。
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司法書士 山森貴幸