委託者・受託者・受益者の相続
委託者・受託者・受益者の相続
① 委託者の地位
⇒ 相続される(147条反対解釈)。
相続の一般原則により、消滅させることは不可。
ちなみに、移転性は認められている。
② 委託者の権利
⇒ 相続される。
信託条項で消滅させることは可能(145条)。
③ 受託者の地位
⇒ 相続の対象外。
任務が終了する(信託の終了事由ではない)。
④ 受益権
⇒ 相続される。
信託条項で消滅させることは可能(後継ぎ遺贈型の受益者連続信託)。
ちなみに、譲渡性は認められる。
(遺言信託における委託者の相続人)
第147条 遺言によって信託がされた場合には、委託者の相続人は、委託者の地位を相続により承継しない。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
民法(相続の一般的効力)
第896条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
(委託者の地位の移転)
第146条 委託者の地位は、受託者及び受益者の同意を得て、又は信託行為において定めた方法に従い、第三者に移転することができる。
(委託者の権利等)
第145条 信託行為においては、委託者がこの法律の規定によるその権利の全部又は一部を有しない旨を定めることができる。
(受託者の任務の終了事由)
第56条 受託者の任務は、信託の清算が結了した場合のほか、次に掲げる事由によって終了する。ただし、第二号又は第三号に掲げる事由による場合にあっては、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。一 受託者の死亡
(信託の終了事由)
第163条 信託は、次条の規定によるほか、次に掲げる場合に終了する。
一 信託の目的を達成したとき、又は信託の目的を達成することができなくなったとき。
二 受託者が受益権の全部を固有財産で有する状態が1年間継続したとき。
三 受託者が欠けた場合であって、新受託者が就任しない状態が1年間継続したとき。
四 受託者が第52条(信託財産が費用等の償還等に不足している場合の措置)の規定により信託を終了させたとき。
五 信託の併合がされたとき。
六 信託の終了を命ずる裁判があったとき。
七 信託財産についての破産手続開始の決定があったとき。
八 委託者が破産手続開始の決定、再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定を受けた場合において、信託契約の解除がされたとき。
九 信託行為において定めた事由が生じたとき。
(委託者及び受益者の合意等による信託の終了)
第164条 委託者及び受益者は、いつでも、その合意により、信託を終了することができる。
3 前2項の規定にかかわらず、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
(受益者の死亡により他の者が新たに受益権を取得する旨の定めのある信託の特例)
第91条 受益者の死亡により、当該受益者の有する受益権が消滅し、他の者が新たな受益権を取得する旨の定め(受益者の死亡により順次他の者が受益権を取得する旨の定めを含む。)のある信託は、当該信託がされた時から30年を経過した時以後に現に存する受益者が当該定めにより受益権を取得した場合であって当該受益者が死亡するまで又は当該受益権が消滅するまでの間、その効力を有する。
(受益権の譲渡性)
第93条 受益者は、その有する受益権を譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2 前項の規定にかかわらず、受益権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の信託行為の定め(譲渡制限の定め)は、その譲渡制限の定めがされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対抗することができる。
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京都市左京区 設立
司法書士 山森貴幸