AB契約→BC契約をしてから、AB決済→BC決済をするのが大原則。
当事務所では、AB決済とBC決済は同日でないと、受任しません。
cf. 三ため特約(ABとBC、同日決済しか受任不可)
同日決済の場合、通常、お金の流れとしては、C→B→Aとなります。
しかし、「Bの指定」かつ「B→Aの支払い」が無いと、Aの所有権は動き出さない(Aに留保されている)ので、理論的には、「C→B→Aの振込手続き」をして、「Bの指定」→「C→Bの受益の意思表示」をすることで、所有権がA→Cに移転すると考えます。
AB決済を先行して、後日、BC決済を行うとすると、差押え・所有権移転・抵当権設定等の登記が入ってしまうリスクをBが負うことになります。BC契約が何らかの事情で無効・取消し・解除になってしまった場合は、最悪、Bが、所有権の移転先をB自身に指定することで、自身に所有権を移転させることはできます。
BC決済を先行して、後日、AB決済を行うとすると、「C→Bの受益の意思表示」を一番最後に行うことで理論的には可能かもしれませんが、Bがお金を持ち逃げするなど、Cにリスクが大きすぎるため、通常は絶対にしないでしょう。
<AB契約の特約>
1.売主及び買主は、本契約が第三者のためにする特約を付した売買契約として締結されるものであることを確認する。
2.買主は、売主に対し、本物件の所有権の移転先となる者(買主本人を含む)を指定するものとする。
3.本物件の所有権は、買主の指定及び売買代金全額の支払いを条件として売主から買主の指定する者に直接移転する。
4.本物件の所有権は、前条の条件成就までは売主に留保されることを確認する。
5.売主は、所有権の移転先に指定された者が売主に対してする本物件の所有権移転を受ける旨の意思表示の受領権限を買主に委任する。
6.特約条項と本契約とで抵触する規定がある場合には、特約条項の規定を適用するものとする。
<BC契約の特約>
1.売主は、現所有権登記名義人(以下、「現所有者」という)所有にかかる本物件を買主に売り渡し、買主はこれを買い受けた。
2.売主は、売主が現所有者との間で締結している令和6年12月26日付売買契約(第三者のためにする特約付)に基づき、現所有者から買主に対し直接所有権を移転させることにより、その義務を履行するものとする。
3.本物件の所有権は、買主が売買代金の全額を支払い、売主がこれを受領し、かつ売主が現所有者との間で締結している令和6年12月6日付売買契約(第三者のためにする特約付)に基づき、買主が現所有者に対して所有権移転を受ける旨の意思表示をした時に、現所有者から買主に移転する。
4.特約条項と本契約とで抵触する規定がある場合には、特約条項の規定を適用するものとする。
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京都市左京区 設立
司法書士 山森貴幸