特定財産承継遺言が存在する場合、遺言の対象財産は、遺産分割方法の指定がなされたものと解され、被相続人の死亡時に直ちに当該相続人に承継されることとなるため、遺産分割協議の対象にはなりません。
しかし、相続人全員の同意がある場合には、実務上、特定財産承継遺言の対象財産について、遺言と異なる内容の遺産分割をすることができます。(さいたま地判平14.2.7)
課税実務においても、原則として、相続人間でなされた遺産分割の内容に基づく相続税のみが課され、相続人間での贈与税(又は所得税)の課税は生じないと扱われています。
No.4176 遺言書の内容と異なる遺産分割をした場合の相続税と贈与税|国税庁
遺言書の内容と異なる遺産の分割と贈与税|国税庁
ただし、特定財産承継遺言に従った不動産登記又は相続税申告を行った後に、これと異なる遺産分割協議を行った場合、特定財産承継遺言に基づき一度取得した遺産を更に相続人間で贈与又は交換したものとみなして、贈与税又は所得税が課される可能性があるため、注意が必要です。(相続事案の税務と登記 P184-186)
なお、私見ではあるが、自筆証書遺言の検認を経ただけでは遺言を承認しているような行為とはいえないので、検認手続きを経た後に遺言と異なる遺産分割協議を行ったとしても、上記贈与税等の課税の問題は生じないと考えます。
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司法書士 山森貴幸