BLOG

利益相反取引の事後承認

利益相反取引を行う場合、株主総会・取締役会の事前承認が必要とされています。

⑴ 承認機関の承認を得ない取引の効力
取締役会の承認を得ない利益相反取引の効力につき、判例は、間接取引および手形行為について、承認のない取引は無効であるが、第三者に対しては会社はその者の悪意を証明するのでなければ無効を主張できないとする見解(相対的無効説)を採っている。(最判昭43.12.25、最判昭46.10.13、最判昭47.4.4)この相対的無効説が通説とされる。
会社法356条1項2号および3号の利益相反取引規定の趣旨がもっぱら会社の利益の保護にあることからみて、株主総会・取締役会の承認がないことによる取引の無効は会社のみがこれを主張することができ、取引の相手方その他会社以外の第三者からは、その無効を主張すべきことができないと解されている。(最判昭48.12.11)
⑵ 事後承認
株主総会・取締役会の承認を得ない利益相反取引は原則として無効であるが、株主総会・取締役会の承認の有無を問わず、利益相反取引をした取締役は会社に生じた損害につき結果責任を負うことから、承認は事後でも差し支えないとされている。(通説)
事後承認の効力発生時期について裁判例は、「商法第265条(現会社法356条1項2号・3号)にいう承認とは事後の承認すなわち追認をも含み、事後承認のなされた取引はその行為時に遡って有効となると解するのを相当とする」としている。
承認機関の事後承認が許される時機は、取引行為の安定性を考えて、相当な期間内になされることを要し、取引後4年6か月を経過してなされた事後承認によっては、承認の効果を生じないとする見解がある。(利益相反 P229)

(競業及び利益相反取引の制限)
第356条 取締役は、次に掲げる場合には、株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
一 取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき。
二 取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするとき。
三 株式会社が取締役の債務を保証することその他取締役以外の者との間において株式会社と当該取締役との利益が相反する取引をしようとするとき。
(競業及び取締役会設置会社との取引等の制限)
第365条 取締役会設置会社における第356条の規定の適用については、同条第1項中「株主総会」とあるのは、「取締役会」とする。
2 取締役会設置会社においては、第356条第1項各号の取引をした取締役は、当該取引後、遅滞なく、当該取引についての重要な事実を取締役会に報告しなければならない。

ちなみに、不動産登記に添付する利益相反議事録は、登記原因についての第三者の許可同意承諾証明情報ですが、原因日付に影響を与えません。

※ 本ブログは私見を含んでおりますのでお問い合わせは一切受け付けません。

プラスカフェ 相続
京都市左京区 設立
司法書士 山森貴幸

TOP