一定の範囲で修繕を賃借人の義務とすることを特約してもよい。(最判昭29.6.25)
ただし、このような特約は賃貸人が修繕義務を負わないという趣旨のものにすぎず、大修繕は依然として賃貸人の義務である。
⇒ 賃借人が家屋使用中に生じる一切の汚損・破壊箇所を自己の費用で修繕し目的家屋を当初と同一の状態に維持すべき義務を負うという趣旨のものではない。(最判昭38.11.28)
賃貸目的物が滅失した場合には、賃貸人は修繕義務を負わない。(完択 P555-556)
<条項例>
第●条 本物件の使用に伴い通常必要となる軽微な修繕及び乙の責めに帰すべき事由により必要となった修繕は、乙の費用負担において行う。
2 前項に定める場合を除き、本物件の構造部分、主要設備その他本物件の維持保全に必要な修繕は、甲の費用負担と責任において行う。
(賃貸人による修繕等)
第606条 賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。
2 賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない。
賃借人の帰責事由によって修繕が必要となった場合に賃貸人が修繕義務を負わない旨を契約書に盛り込まず、単に修繕義務が賃貸人にあるとのみ定めている場合には、その規定が民法606条1項ただし書の特約を定めているものなのか、それとも民法606条1項ただし書の適用を排除していないのかが一義的に明らかではなく、将来の紛争解決の見通しが難しくなるというリスクが生じ得る。(契約書レビューの実務 P175)
(賃借人による修繕)
第607条の2 賃借物の修繕が必要である場合において、次に掲げるときは、賃借人は、その修繕をすることができる。
一 賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき。
二 急迫の事情があるとき。
賃借物の全部が滅失した場合等には、もはや賃貸借契約の目的を達成することが不可能であるにもかかわらず、契約の解除をしない限り賃料債務が発生するというのは不当であると考えられ、賃貸借の目的物の滅失等について契約当事者の一方に帰責事由がある場合でも、賃貸借契約自体は当然に終了し、その後、債務不履行等による損害賠償請求により処理がなされる。(完択 P565)
(賃借物の全部滅失等による賃貸借の終了)
第616条の2 賃借物の全部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合には、賃貸借は、これによって終了する。
※ 本ブログは私見を含んでおりますのでお問い合わせは一切受け付けません。
プラスカフェ 相続
京都市左京区 設立
司法書士 山森貴幸