設定者兼債務者で所有権については相続登記がなされ、
債務者の死亡後6か月以内に相続による債務者変更登記及び指定債務者の合意登記がなされず、
その後、免責的債務引受契約がなされた。
上記事案において、
まず、相続による債務者変更登記の前提として元本確定登記は不要(登研529)。
次に、相続による債務者変更登記をすれば、相続開始日から6か月経過していることが判明するので、元本確定が登記記録上明らかであり、免責的債務引受による債務者変更登記の前提として元本確定登記は不要(登研562)。ただし、実務上、金融機関は元本確定登記を求めてくることが多いので、なすべき登記の順序としては、
① 相続による債務者変更登記
② 相続開始日で元本確定登記
③ 免責的債務引受による債務者変更登記
となる。
※ 元本確定が登記記録上明らかであっても、任意に元本確定登記をすることは可能である。
ここからは余談であるが、所有権について相続登記がなされていても、免責的債務引受による債務者変更登記をするには、前提として、相続による債務者変更登記が必要である。論点としては、設定者であった被相続人と根抵当権の債務者の住所氏名が一致していれば、債務者に相続が開始し6か月経過していると推認できるのではないかということ。しかし、住所氏名が一致しているからといって同一人であると断定することはできないし、また、設定者の死亡は元本確定事由ではない。さらに言うと、設定者の死亡前に根抵当権の債務者が変更されている可能性もある。何度も言いますが、債務者(設定者✖)の死亡が根抵当権の元本確定事由である。
※ 本ブログは私見を含んでおりますのでお問い合わせは一切受け付けません。
プラスカフェ 相続
京都市左京区 設立
司法書士 山森貴幸