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減資の際の債権者保護手続

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資本金の額の減少は、会社の保有する財産を減少させる可能性がある行為であり、会社債権者に大きな不利益を与える(減資の税務と登記手続 P18)ので、会社債権者に対し、異議申立ての機会を与えなければならず、債権者保護手続を省略できる場合はありません。(同 P155)

株主総会決議で定めた効力発生日が到来しても、債権者保護手続が終了していないときは、減資の効力は発生せず、効力発生日を変更しなければなりません。

資本金の額の減少の決議より先に債権者保護手続を開始することも可能であり、その場合には、資本金の額の減少の決議により、直ちにその効力を生じさせることができます。(ハンドブック P232)
よって、すでに債権者保護手続が終わっていれば、株主総会決議日=効力発生日とすることもできます。

会社法(債権者の異議)
第449条 株式会社が資本金又は準備金の額を減少する場合には、当該株式会社の債権者は、当該株式会社に対し、資本金等の額の減少について異議を述べることができる。
2 前項の規定により株式会社の債権者が異議を述べることができる場合には、当該株式会社は、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。ただし、第三号の期間は、1箇月を下ることができない。
一 当該資本金等の額の減少の内容
二 当該株式会社の計算書類に関する事項として法務省令で定めるもの
三 債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨
6 次の各号に掲げるものは、当該各号に定める日にその効力を生ずる。ただし、第2項から前項までの規定による手続が終了していないときは、この限りでない。
一 資本金の額の減少 第447条第1項第三号の日
二 準備金の額の減少 前条第一1第三号の日

(資本金の額の減少)
第447条 株式会社は、資本金の額を減少することができる。この場合においては、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 減少する資本金の額
二 減少する資本金の額の全部又は一部を準備金とするときは、その旨及び準備金とする額
三 資本金の額の減少がその効力を生ずる日

会社計算規則第152条
法第449条第2項第二号に規定する法務省令で定めるものは、同項の規定による公告の日又は同項の規定による催告の日のいずれか早い日における次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定めるものとする。
一 最終事業年度に係る貸借対照表又はその要旨につき公告対象会社が法第440条第1項又は第2項の規定による公告をしている場合 次に掲げるもの
イ 官報で公告をしているときは、当該官報の日付及び当該公告が掲載されている頁
ロ 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙で公告をしているときは、当該日刊新聞紙の名称、日付及び当該公告が掲載されている頁
ハ 電子公告により公告をしているときは、法第911条第3項第28号イに掲げる事項
二 最終事業年度に係る貸借対照表につき公告対象会社が法第440条第3項に規定する措置をとっている場合 法第911条第3項第26号に掲げる事項
三 公告対象会社が法第440条第4項に規定する株式会社である場合において、当該株式会社が金融商品取引法第24条第1項の規定により最終事業年度に係る有価証券報告書を提出している場合 その旨
四 公告対象会社が会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第28条の規定により法第440条の規定が適用されないものである場合 その旨
五 公告対象会社につき最終事業年度がない場合 その旨
六 前各号に掲げる場合以外の場合 前編第2章(計算書類の要旨の公告)の規定による最終事業年度に係る貸借対照表の要旨の内容

六については、公告義務を果たしていない場合の救済策が主ですが(法定公告の手引 P107)、決算確定後決算公告掲載前も本号となります。(会社法法令集ミニ解説)

債権者保護手続においては、原則として、官報公告をしたうえで、知れている債権者に対して個別催告をしなくてはなりません。(合併ハンドブック P197)

公告方法が官報である場合において、官報に貸借対照表の要旨を同時掲載したときは、以後、当該貸借対照表の要旨が決算公告として取り扱われますが、公告方法が日刊新聞紙である場合において、官報に貸借対照表の要旨を同時掲載したときは、当該貸借対照表の要旨は決算公告とはならず、あらためて日刊新聞紙で決算公告を行う必要があります。(法定公告の手引 P53)
なので、公告方法が日刊新聞紙である場合、別途決算公告を行わないと、一の場合に該当せず、六の場合に該当するので、催告書に貸借対照表の要旨を掲載しないといけなくなります。

どの事業年度に係る貸借対照表の要旨を掲載しなければならないのかについては、最終事業年度に係る貸借対照表の要旨です。最終事業年度に係る貸借対照表とは、定時株主総会において決算承認された貸借対照表のことをいいます。

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プラスカフェ 相続
京都市左京区 設立
司法書士 山森貴幸

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