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新設分割の際の株主資本等変動額とは

株主資本等変動額とは、
移転事業の簿価純資産額(資産-負債)-自己株式(簿価)対価額-現金等交付額
であり、その範囲内で、新設分割計画の定めにより自由に資本金の額を決定することができます。

分社型新設分割は事業の現物出資に似てますが、通常の設立と異なり、出資事業の全額を資本金と資本準備金にするという制約はなく、その他資本剰余金にも計上できます。(これが増減資・組織再編の計算だ! P127、会社法455条5項は2項3項の対象外)

① 株主資本等変動額の範囲内で承継会社が新設分割計画の定めに従い資本金の額を決定。
② ①の残りの範囲内で承継会社が新設分割計画の定めに従い資本準備金の額を決定。
③ ②の残りがその他資本剰余金となる。
利益準備金とその他利益剰余金は、0となる。
(※ 資本剰余金=資本準備金+その他資本剰余金利益剰余金=利益準備金+その他利益剰余金
例外として、分割型新設分割において、会社計算規則50条があるが、この場合、分割会社において資本金の額の減少手続きが別途必要になる。(会社分割ハンドブック P656-660,673)

会社法
(資本金の額及び準備金の額)
第455条 株式会社の資本金の額は、この法律に別段の定めがある場合を除き、設立又は株式の発行に際して株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額とする。
2 前項の払込み又は給付に係る額の2分の1を超えない額は、資本金として計上しないことができる。
3 前項の規定により資本金として計上しないこととした額は、資本準備金として計上しなければならない。

4 剰余金の配当をする場合には、株式会社は、法務省令で定めるところにより、当該剰余金の配当により減少する剰余金の額に10分の1を乗じて得た額を資本準備金又は利益準備金(以下「準備金」と総称する。)として計上しなければならない。

5 合併、吸収分割、新設分割、株式交換、株式移転又は株式交付に際して資本金又は準備金として計上すべき額については、法務省令で定める。

6 定款又は株主総会の決議による第361条第1項第三号、第四号若しくは第五号ロに掲げる事項についての定め又は報酬委員会による第409条第3項第三号、第四号若しくは第五号ロに定める事項についての決定に基づく株式の発行により資本金又は準備金として計上すべき額については、法務省令で定める。

会社計算規則 第49条(単独新設分割の場合における新設分割設立会社の株主資本等)
新設分割設立会社の設立時における株主資本等の総額は、新設型再編対象財産の新設分割会社における新設分割の直前の帳簿価額を基礎として算定する方法(当該新設型再編対象財産に時価を付すべき場合にあっては、新設型再編対価時価又は新設型再編対象財産の時価を基礎として算定する方法)に従い定まる額(次項において「株主資本等変動額」という。)とする。
2 前項の場合には、新設分割設立会社の資本金及び資本剰余金の額は、株主資本等変動額の範囲内で、新設分割会社が新設分割計画の定めに従いそれぞれ定めた額とし、利益剰余金の額は零とする。ただし、株主資本等変動額が零未満の場合には、当該株主資本等変動額をその他利益剰余金の額とし、資本金、資本剰余金及び利益準備金の額は零とする。
第50条(株主資本等を引き継ぐ場合における新設分割設立会社の株主資本等)
前条の規定にかかわらず、分割型新設分割の新設型再編対価の全部が新設分割設立会社の株式又は持分である場合であって、新設分割会社における新設分割の直前の株主資本等の全部又は一部を引き継ぐものとして計算することが適切であるときには、分割型新設分割により変動する新設分割会社の資本金、資本剰余金及び利益剰余金の額をそれぞれ新設分割設立会社の設立時の資本金、資本剰余金及び利益剰余金の額とすることができる。

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京都市左京区 設立
司法書士 山森貴幸

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