(京都地判平成20年9月24日)
上記判決は、定款の定めにより普通決議一般の定足数を排除し取締役選任決議の定足数を発行済株式総数の3分の1以上としていた会社において、平成17年会社法制定後に取締役解任決議について定款に何らの定めも置かれなかった事案に関するものである。
定款の解釈において、取締役選任決議の定足数は原則として普通決議一般の定足数の定めによるべきであると解するのがこれまでの通説の立場であった。それに対して、上記判決は、普通決議一般につき定款に別段の定めがあったとしても、取締役解任決議の定足数につき定款の定めがない場合には、普通決議一般に関する定款の規定の適用を受けずに会社法341条の原則に戻るという定款解釈を行った。
「会社法第309条第1項の規定にかかわらず」という条文の文言からすると、「普通決議」と「取締役の選任及び解任の普通決議」は別物で、取締役の選任及び解任の普通決議については、普通決議の定足数排除の定款規定の効果は及ばず、会社法第341条の原則どおり過半数と考えるようです。
よって、普通決議、取締役の選任決議、取締役の解任決議のそれぞれについて、定款に定足数の特段の規定を置くのが確実です。
(株主総会の決議)
第309条 株主総会の決議は、定款に別段の定めがある場合を除き、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行う。
(役員の選任及び解任の株主総会の決議)
第341条 第309条第1項の規定にかかわらず、役員を選任し、又は解任する株主総会の決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(3分の1以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行わなければならない。
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司法書士 山森貴幸