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持分・出資の払戻し、利益の配当の原資

出資の払戻し:資本金と資本剰余金
利益の配当:利益剰余金のみ
持分の払戻し:資本金と資本剰余金と利益剰余金

出資の払戻しの原資

会社計算規則(利益剰余金の額)
第32条2項 持分会社の利益剰余金の額は、第四節に定めるところのほか、次の各号に掲げる場合に限り、当該各号に定める額が減少するものとする。ただし、出資の払戻しにより払い戻した財産の帳簿価額に相当する額は、利益剰余金の額からは控除しないものとする。

条文から、利益剰余金は外れる。
資本剰余金を原資とすることは当然に可能であり、また、出資の払戻しに伴う資本金の額の減少も許容されていること(会626Ⅰ)からも、資本金を原資とすることも当然可能。cf. 社員の出資の払戻し

利益の配当の原資

会社計算規則(資本剰余金の額)
第31条2項 持分会社の資本剰余金の額は、第四節に定めるところのほか、次の各号に掲げる場合に限り、当該各号に定める額が減少するものとする。ただし、利益の配当により払い戻した財産の帳簿価額に相当する額は、資本剰余金の額からは控除しないものとする。

条文から、資本剰余金は外れる。
資本金の額の減少が認められるのは、損失のてん補、出資の払戻し、持分の払戻しのいずれかの場合のみなので、資本金も外れる。cf. 合同会社の損失のてん補

会社法
第620条 持分会社は、損失のてん補のために、その資本金の額を減少することができる。
(出資の払戻し又は持分の払戻しを行う場合の資本金の額の減少)
第626条 合同会社は、第620条第1項の場合のほか、出資の払戻し又は持分の払戻しのために、その資本金の額を減少することができる。

持分の払戻しの原資

会社法(出資の払戻し又は持分の払戻しを行う場合の資本金の額の減少)
第626条 合同会社は、第620条第1項の場合のほか、出資の払戻し又は持分の払戻しのために、その資本金の額を減少することができる。
(債権者の異議)
第627条 合同会社が資本金の額を減少する場合には、当該合同会社の債権者は、当該合同会社に対し、資本金の額の減少について異議を述べることができる。

会社計算規則(資本金の額)
第30条2項 持分会社の資本金の額は、次の各号に掲げる場合に限り、当該各号に定める額が減少するものとする。
一 持分会社が退社する社員に対して持分の払戻しをする場合(合同会社にあっては、法第627条の規定による手続をとった場合に限る。) 当該退社する社員の出資につき資本金の額に計上されていた額
(資本剰余金の額)
第31条2項 持分会社の資本剰余金の額は、第四節に定めるところのほか、次の各号に掲げる場合に限り、当該各号に定める額が減少するものとする。ただし、利益の配当により払い戻した財産の帳簿価額に相当する額は、資本剰余金の額からは控除しないものとする。
一 持分会社が退社する社員に対して持分の払戻しをする場合 当該退社する社員の出資につき資本剰余金の額に計上されていた額

(利益剰余金の額)
第32条 持分会社の利益剰余金の額は、第四節に定めるところのほか、次の各号に掲げる場合に限り、当該各号に定める額が増加するものとする。
二 持分会社が退社する社員に対して持分の払戻しをする場合 イに掲げる額からロに掲げる額を減じて得た額(零未満である場合には、零)
イ 当該持分の払戻しを受けた社員の出資につき資本金及び資本剰余金の額に計上されていた額の合計額
ロ 当該持分の払戻しにより払い戻した財産の帳簿価額
2 持分会社の利益剰余金の額は、第四節に定めるところのほか、次の各号に掲げる場合に限り、当該各号に定める額が減少するものとする。ただし、出資の払戻しにより払い戻した財産の帳簿価額に相当する額は、利益剰余金の額からは控除しないものとする。
二 持分会社が退社する社員に対して持分の払戻しをする場合 イに掲げる額からロに掲げる額を減じて得た額(零未満である場合には、零)
イ 当該持分の払戻しにより払い戻した財産の帳簿価額
ロ 当該持分の払戻しを受けた社員の出資につき資本金及び資本剰余金の額に計上されていた額の合計額

まず、資本金・資本剰余金については、当該社員の出資につき資本金・資本剰余金の額に計上されていた額が、それぞれ減少する。
利益剰余金については、おおむね、当該社員の出資につき計上されていた額(資本金+資本剰余金)を超える額の払戻しをする場合には、その帳簿価額上の差額だけ減少し、逆に、出資額を下回る払戻しの場合には、利益剰余金が増加する。(ハンドブック P675)。

つまり、退社する社員にかかる資本金・資本剰余金を減額 ⇒ 利益剰余金を調整する。
cf. 社員の退社に伴う持分の払戻し

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プラスカフェ 相続
京都市左京区 設立
司法書士 山森貴幸

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