医療法人の任期は、厚労省のモデル定款によると、
第⚫条 役員の任期は2年とする。ただし、再任を妨げない。
2 補欠により就任した役員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 役員は、第⚫条に定める員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した後も、新たに選任された者が就任するまで、なお役員としての権利義務を有する。
などとなっており、株式会社と違って、少し厄介です。
まず、2項にあるように、補欠規定はありますが、増員規定がありません。。。
つまり、現任役員の重任のタイミングに合わせて新任者を選任しないと任期がズレることになります。
ただし、定款上は確定任期2年となっていますが、認可庁によっては、選任の際の社員総会で、現任者の任期と合わせたいため、任期はいついつとする旨の決議をとれば、2年以内であれば、定款変更認可を受けることなく、任期短縮を認める取扱いをしています。当然、2年を超えるのはNGですが。
また、確定任期となっているのが厄介な問題で、、、
たとえば、令和2年6月2日の理事会で新任の理事長を選出した場合、
任期の起算点は令和2年6月3日となり、令和4年6月2日をもって任期が満了します。
株式会社と違って、定時総会の日時は関係ありません。
理事長を再選しようと思うと、令和4年6月2日までに理事長の予選決議をすることになりますが、
たとえば、令和4年6月2日の理事会で予選決議をしても、あくまで令和4年6月3日からの理事長を選出してるわけで、令和4年6月2日退任、令和4年6月3日就任という形になってしまいます。ただし、登記申請としては、令和4年6月3日重任で受理されます。
そして、予選の形になってるので、次の任期の起算点は初日算入され、令和4年6月3日が起算点となります。そうなると、任期は、令和6年6月2日をもって満了することとなり、同じように令和6年6月3日重任の登記をすることとなります。
この事例は、あくまで理事長重任の前後において理事の構成に変更が無い場合の話で、理事長選出の前提となる理事の予選決議において、現在の理事構成と予選された後の理事構成が変わってしまえば、理事長の予選決議をすることができず、予選理事が就任した後に開催した理事会で理事長を選出する必要が生じます。
たとえば、理事長A、理事BCD、令和4年6月2日に任期が満了する場合、令和4年6月2日開催の社員総会で理事をABCのみ予選し、Dが退任するとなると、理事構成が変わってしまうために、令和4年6月2日開催の理事会で理事長を予選することはできず、ABCが理事に就任した令和4年6月3日開催の理事会でAを理事長に選出する決議をすることになります。ただ、この場合も、理事長Aは、令和4年6月2日をもって資格喪失により退任となり、令和4年6月2日退任、令和4年6月3日就任ということになりますが、登記申請としては、令和4年6月3日重任で受理されます。
※ 本ブログは私見を含んでおりますのでお問い合わせは一切受け付けません。
プラスカフェ 相続
京都市左京区 設立
司法書士 山森貴幸