遺産分割は分割の時に実際に存在する財産を分配する手続きなので、相続開始時から遺産分割時までの間に、遺産が滅失・毀損したことに伴って生じた代償財産(例えば、遺産に含まれる建物等が焼失した場合の火災保険金や、相続人が遺産の一部を処分した場合の対価)は、遺産分割の対象とならないのが原則です。(最判昭52.9.19)
もっとも、共同相続人全員によって遺産分割の対象に含める旨の合意がなされている場合には、遺産分割の対象となります。(最判昭54.2.22)
遺産分割前に遺産に属する財産を処分した場合、共同相続人全員の同意によって、遺産分割前に処分された遺産に属する財産について、遺産分割の対象財産とすることができます。(協議書作成マニュアル P18)
民法
(遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合の遺産の範囲)
第906条の2 遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合であっても、共同相続人は、その全員の同意により、当該処分された財産が遺産の分割時に遺産として存在するものとみなすことができる。
遺産分割協議成立前の換価(協議書チェックのポイント P100)
遺産分割協議成立前に、相続人全員が同意の上、遺産不動産を第三者に売却した場合は、その売却代金は特段の事情がない限り、各相続人の相続分に応じて当然に分割され、遺産分割の対象とならず各相続人がその支払を求めることができるとするのが判例の立場です。(最判昭52.9.19、最判昭54.2.22)
遺産の売却代金(相続・遺言の落とし穴 P218)
遺産の売却代金は、原則として遺産分割の対象から外れます。
遺産分割の対象となるのは、相続開始時に存在し、かつ、分割時にも存在する未分割の遺産です。相続開始時に存在した遺産が分割時には存在しないときは、遺産分割の対象とはなりません。
したがって、当事者全員の合意により換価分割の方法を採る場合には、他に売却した遺産及びその売却代金は、原則として遺産分割の対象から除外されます。(最判昭52.9.19、最判昭54.2.22)
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京都市左京区 設立
司法書士 山森貴幸