不動産取引において、決済の際に固定資産税を日割計算して精算するのが一般的で、固定資産税は司法書士にとって馴染みのある税金のひとつです。
ここからは、あくまで私の経験談に基づくものであり、市町村によって取扱いが異なりますのでご了承ください。また、具体的な税務相談については税理士業務に当たるため、お受けできません。
先日、とある市町村の不動産取引がありまして、建物が登記されていませんでした。
本来ならば表題登記をすべきところですが、お客様の希望でとりあえずは未登記のまま手続をしてほしいとのこと。手続としては、固定資産税の納税義務者を変更する「未登記家屋所有者変更届」を市町村に提出することになります。変更届書を提出するにも、家屋を特定するための事項を記載しないといけないので、固定資産税納税通知書の課税明細について売主様に確認したところ、課税明細に家屋が記載されてないと、、、
ここで、固定資産税の免税点について。
土地30万円未満、建物20万円未満という数字のみが先行しがちですが、詳しく調べたところ、要は、
同一市町村内に同一人が所有する土地の課税標準額の合計が30万円未満なら土地の課税は無し
同一市町村内に同一人が所有する建物の課税標準額の合計が20万円未満なら建物の課税は無し
ということだそうです。
たとえば、Aさんが、X市 の 土地 を 2つ 所有していて、それぞれの課税標準額が
15万円と10万円なら、課税は無し
15万円と20万円なら、合計35万円について課税されます(5万円について課税ではありません)。
次に、Bさんが、Y市 の 土地 と 建物 を 1つずつ 所有していて、それぞれの課税標準額が
土地20万円と建物15万円なら、課税は無し
土地20万円と建物30万円なら、土地は課税無し、建物30万円について課税されます。
今回の市町村で、納税通知書の課税明細に記載される不動産は、
土地のみを複数所有
⇒ 1つ1つが30万円未満であっても合計が30万円以上であれば、全ての土地が記載される。
土地複数と建物1つ所有
⇒ 土地合計が30万円以上で建物が20万円未満の場合、課税されない建物も記載される。
とのことでした。
ちなみに、「課税標準額」が基準であり、固定資産税評価額が基準ではありません。
また、都市計画区域外では、建物の建築確認申請が不要だったりして、建物を建てても役所が把握していないことがあり、評価漏れの場合が割りとあるそうです。京都市内ではほとんど考えられないことですが、、、
評価漏れの場合、年度の途中で所有者が変わり、変更届書を提出すると、役所が現地を見に行き、評価・課税を行います。注意が必要なのは、固定資産税は1月1日時点の所有者が納税義務者となるので、新所有者が納税義務を負うのではなく、旧所有者が納税義務を負うことになります。さらに、5年ぐらい遡って徴収される可能性もあるということです。
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プラスカフェ 相続
京都市左京区 設立
司法書士 山森貴幸