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未成年者が取締役になることはできるか

未成年者であることは取締役の欠格事由ではありません。
未成年者であっても、意思能力が認められる程度の年齢(一般的には7歳から10歳以上)であれば、法定代理人の同意を得て、取締役に就任することはでき、この場合には、取締役就任に対する法定代理人の同意をもって、民法6条の未成年者に対する営業許可とみて、以後、取締役としての個別の行為に法定代理人の同意を要しない(商業登記ハンドブック 第4版 P386参照)。

民法6条
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(未成年者の営業の許可)
第6条 一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。
2 前項の場合において、未成年者がその営業に堪えることができない事由があるときは、その法定代理人は、第四編(親族)の規定に従い、その許可を取り消し、又はこれを制限することができる。

ここでいう「営業」とは営利を目的とした継続的事業を指し、商業に限らない。
「成年者と同一の行為能力」とは、法定代理人の同意を要しないだけでなく、その範囲での法定代理権の消滅を意味する。営業の許可により成年擬制がなされるのは「その営業」に関してのみである。

ふと思ったのですが、同意ではなく代理で就任することは可能なのか?
取締役になると継続的に業務執行を行うことになるので常時法定代理人に代理されるということはおかしな話なので不可能のようである。
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商業登記ハンドブック 第4版 P386
意思能力を認め難い年齢の未成年者については、取締役が個人の能力に着目して会社から選任され、受任者として継続して業務執行の意思決定を行う地位であることに照らすと、常時法定代理人に代理されることにより業務を遂行することは予定されていないというべきであり、取締役になることはできない。

また、意思能力を有している未成年者であっても、取締役会非設置会社の場合、その取締役就任登記に、未成年者本人の印鑑証明書が添付書類となっている関係上、手続的に15歳未満は登記することができません。実体上は就任可能ですが、登記手続上就任できないというおかしな話です。。。

ちなみに、対外的な代表権を有する代表取締役については、一般的に、14歳の者がなることは困難であると考えられている(商業登記ハンドブック 第4版 P392)。

発起人が未成年者の場合は、こちらの記事を参照してください。
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【会社】未成年者が発起人になることはできるか

司法書士 山森貴幸

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