会社法上の社員の退社事由には、主に「任意退社」と「法定退社」があります。
それ以外に、持分を全部譲渡した場合も、社員の資格が相対的に消滅し、登記実務上は、退社の登記をするものとされています。(ハンドブック P651,665,671)
会社法上の退社事由により退社した場合は、社員資格は絶対的に消滅、持分の全部譲渡や社員が死亡した場合は、相対的に消滅します。cf. 合同会社における社員の退社の2類型
持分譲渡の効力要件は、「他の社員全員の承諾」と「譲渡契約」です。
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(持分の譲渡)
第585条 社員は、他の社員の全員の承諾がなければ、その持分の全部又は一部を他人に譲渡することができない。
そして、社員加入の効力要件は、「定款変更」です。
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(社員の加入)
第604条 持分会社は、新たに社員を加入させることができる。
2 持分会社の社員の加入は、当該社員に係る定款の変更をした時に、その効力を生ずる。
3 前項の規定にかかわらず、合同会社が新たに社員を加入させる場合において、新たに社員となろうとする者が同項の定款の変更をした時にその出資に係る払込み又は給付の全部又は一部を履行していないときは、その者は、当該払込み又は給付を完了した時に、合同会社の社員となる。
なので、持分譲渡による社員加入の定款変更のための総社員の同意は、既存社員全員の同意ということになりそうです(同意の時点では定款変更できていないので新社員はまだ加入していない)。
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(定款の変更)
第637条 持分会社は、定款に別段の定めがある場合を除き、総社員の同意によって、定款の変更をすることができる。
これと比較して、持分の全部譲渡による社員退社は、定款変更が効力要件ではないので(条文が無い)、持分譲渡の効力発生時に退社の効力が生ずるはずで、定款変更のための総社員の同意は、退社社員以外の総社員の同意ということになりそうです。
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プラスカフェ 相続
京都市左京区 設立
司法書士 山森貴幸