受益者の有する権利には、信託契約の定めにより制限できないものがあります。
(信託行為の定めによる受益者の権利行使の制限の禁止)
第92条 受益者による次に掲げる権利の行使は、信託行為の定めにより制限することができない。
具体的には、
一 裁判所に対する申立権
二 遺言信託における信託の引受けの催告権
三 信託財産に対する強制執行等に対する異議主張権
四 三に係る訴訟に要した費用の支払請求権
五 受託者の権限行使違反の取消権
六 受託者の利益相反行為の取消権
七 信託事務の処理状況についての報告請求権
八 信託事務に関する帳簿等についての閲覧・謄写請求権
九 受託者の任務の損失てん補・原状回復請求権
十 法人受託者の任務の損失てん補・原状回復請求権
十一 受託者の行為の差止め請求権
十二 九、十、十一に係る訴訟に要した費用の支払請求権
十三 前受託者がする信託財産の処分の差止め請求権
十四 前受託者の相続人等がする処分の差止め請求権
十五 十三、十四に係る訴訟に要した費用の支払請求権
十六 新受託者に指定された者に対する就任催告権
十七 受益権を放棄する権利
十八 受益権取得請求権
十九 信託監督人に指定された者に対する就任催告権
二十 受益者代理人に指定された者に対する就任催告権
二十一 受益権原簿記載事項を記載した書面の交付請求権
二十二 受益権原簿の閲覧・謄写請求権
二十三 受益権原簿記載事項の受益権原簿への記載請求権
二十四 給付可能額超の給付の金銭のてん補・支払請求権
二十五 給付欠損が生じた時の金銭のてん補・支払請求権
二十六 会計監査人の任務懈怠の損失のてん補請求権
また、受益者が複数いる場合、受益者の権利は原則全員一致の意思決定により行使しますが、上記権利は単独で行使することができます。(単独受益者権)
第三節 2人以上の受益者による意思決定の方法の特例
第一款 総則
第105条 受益者が2人以上ある信託における受益者の意思決定(第92条各号に掲げる権利の行使に係るものを除く。)は、すべての受益者の一致によってこれを決する。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
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司法書士 山森貴幸