BLOG

合意による自己株式の有償取得

Tags:

合意による自己株式の取得の手続きは、募集株式の発行手続きと似通った手続きになり、当然株主平等原則が働く。

有償取得の場合、会社財産の減少を招くので、分配可能額の制限の範囲内での取得になる。
cf. 資本金の額が増加するか否かのメルクマール

特定の株主からの取得は、株主平等の原則から、その特定人だけを特別扱いするわけにはいかないので、他の株主に売主追加請求権が与えられる。
その特定の株主は、自己株式取得を決議する株主総会決議において議決権を行使することができず、売主追加請求権を行使した株主もまた議決権を行使することができない。(基本論点 P133、書式集 P93、実務 P65)

また、取締役から自己株式を取得する場合は利益相反取引となり、取締役会(非設置会社は株主総会)の承認が必要となる。売主となる取締役は取締役会の議決に加わることができず、定足数からも除外される。(書式集 P95)

現金100で自己株式を有償取得すると、会社の資産から現金100が消えるが、その代わり自己株式100が計上されるのではなく、貸借対照表の純資産の部の株主資本のところに自己株式△100と計上される。つまり、会社が保有する限りにおいて、自己株式の資産性は否定されている。

自己株式の取得は、あたかも新株発行の契約解除と原状回復のごとくだが、株式が消滅するわけではないし、会社設立後は、資本金や資本準備金の額と株数とは連動しないので、資本金や資本準備金の額の減少にはならない。
自己株式を保有しても、速やかに処分する必要もなくいつまでも保有し続けることが許容されているが、その間は株主への分配可能額の計算に影響する。(基本論点 P136)

cf. 自己株式の取得

会社法
第155条 株式会社は、次に掲げる場合に限り、当該株式会社の株式を取得することができる。
三 次条第1項の決議があった場合
(株式の取得に関する事項の決定)
第156条 株式会社が株主との合意により当該株式会社の株式を有償で取得するには、あらかじめ、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。ただし、第三号の期間は、1年を超えることができない。
一 取得する株式の数
二 株式を取得するのと引換えに交付する金銭等の内容及びその総額
三 株式を取得することができる期間
(取得価格等の決定)
第157条 株式会社は、前条第1項の規定による決定に従い株式を取得しようとするときは、その都度、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 取得する株式の数
二 株式1株を取得するのと引換えに交付する金銭等の内容及び数若しくは額
三 株式を取得するのと引換えに交付する金銭等の総額
四 株式の譲渡しの申込みの期日
 取締役会設置会社においては、前項各号に掲げる事項の決定は、取締役会の決議によらなければならない。
(株主に対する通知等)
第158条 株式会社は、株主に対し、前条第1項各号に掲げる事項を通知しなければならない。
(譲渡しの申込み)
第159条 前条第1項の規定による通知を受けた株主は、その有する株式の譲渡しの申込みをしようとするときは、株式会社に対し、その申込みに係る株式の数を明らかにしなければならない。
2 株式会社は、第157条第1項第四号の期日において、前項の株主が申込みをした株式の譲受けを承諾したものとみなす。

(特定の株主からの取得)
第160条 株式会社は、第156条第1項各号に掲げる事項の決定に併せて、同項の株主総会の決議によって、第158条第1項の規定による通知を特定の株主に対して行う旨を定めることができる。
2 株式会社は、前項の規定による決定をしようとするときは、法務省令で定める時までに、株主に対し、次項の規定による請求をすることができる旨を通知しなければならない。
3 前項の株主は、第1項の特定の株主に自己をも加えたものを同項の株主総会の議案とすることを、法務省令で定める時までに、請求することができる。
4 第1項の特定の株主は、第156条第1項の株主総会において議決権を行使することができない。ただし、第1項の特定の株主以外の株主の全部が当該株主総会において議決権を行使することができない場合は、この限りでない。

会社法
(配当等の制限)
第461条 次に掲げる行為により株主に対して交付する金銭等の帳簿価額の総額は、当該行為がその効力を生ずる日における分配可能額を超えてはならない。
三 第157条第1項の規定による決定に基づく当該株式会社の株式の取得

※ 本ブログは私見を含んでおりますのでお問い合わせは一切受け付けません。

プラスカフェ 相続
京都市左京区 設立
司法書士 山森貴幸

TOP