第1条 預貯金の解約金及び現金の中から、A法人に100万円、亡兄の妻Bに200万円をそれぞれ遺贈する。
第2条 不動産全部を配偶者Eに相続させ、亡兄の子らC、Dに各100万円を相続させる。預貯金の解約金及び現金から上記合計500万円を控除した残金及びその他一切の財産を配偶者Eに相続させる。
という遺言書を作成していたが、亡兄の妻Bが遺言者より前に死亡していた場合、同人に遺贈すべきであった200万円はどうなるか。
民法994条により先死者への遺贈は無効(同時存在の原則)となり、遺贈財産は民法995条によって相続人に帰属するのが原則ですが、同条ただし書により、「その他一切の財産を配偶者Eに相続させる」という別段の意思表示に従うことになります。
遺言者の意思を解釈すれば、相続人資格を有しないA法人に100万円とBに200万円を遺贈すると定めた単発の特定遺贈だけでなく、相続人資格を有するC、Dの2名には、各自100万円のみを相続させ、その他一切の財産をEに相続させるという意思が明白です。
したがって、受遺者が先死した場合であれ、遺贈を放棄した場合であれ、いずれの部分もEに帰属させる意思が明白です。よって、仮にBが先死していても、Bに遺贈すべきであった部分が相続財産として残存するなどと解釈する余地は、全くありません。(相続・遺言の落とし穴 P68)
(受遺者の死亡による遺贈の失効)
第994条 遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない。
2 停止条件付きの遺贈については、受遺者がその条件の成就前に死亡したときも、前項と同様とする。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
(遺贈の無効又は失効の場合の財産の帰属)
第995条 遺贈が、その効力を生じないとき、又は放棄によってその効力を失ったときは、受遺者が受けるべきであったものは、相続人に帰属する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
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司法書士 山森貴幸