農地の転売とは、農地所有者から転用目的で農地を買い受けた者が、農地法5条の許可を受ける前に、その有する条件付所有権を他に売り渡すことをいう。厳密には農地所有権を移転する行為ではなく、農地法5条の許可があれば農地所有権を取得し得る権利=条件付所有権を移転する行為にほかならない。
農地が転売された場合、転買人は、当初の売主のほか自己に至るまでのすべての権利移転の当事者の同意を得ないかぎり、当初の売主に対し直接自己に所有権移転登記を請求することが許されない。(最判昭46.4.6)
AB間で農地の売買契約を締結したが、AからBに所有権が移転をされる前に、BがCに買主の地位の譲渡をした場合、当該譲渡につきAの承諾があれば、CはAに対し、直接A→Cという転用目的の農地所有権移転のための農地法上の許可申請手続をなすよう請求することができる。(最判昭46.6.11)
契約上の地位の譲渡は、三面契約で行い得るだけでなく、原契約者の一方と地位の譲受人との二面契約ですることも可能であるが、売買契約上の買主の地位の譲渡には売主の承諾を要するとするのが判例(最判昭46.6.11)、登記実務である(民法改正により明文化)。
民法
第539条の2 契約の当事者の一方が第三者との間で契約上の地位を譲渡する旨の合意をした場合において、その契約の相手方がその譲渡を承諾したときは、契約上の地位は、その第三者に移転する。
第三者のためにする契約につき、CはAに対し、直接A→Cという農地所有権移転のための農地法上の許可申請手続をなすよう請求することができる。
農地登記申請MEMO P25,31,35
cf. 農地法許可申請協力請求権
cf. 第三者のためにする契約の備忘録
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司法書士 山森貴幸