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取締役会設置会社の定めの廃止

取締役会設置会社の定めを廃止すると、従前代表権を有していなかった他の取締役は、法律上の当然の効果として、代表権を有するに至る(各自代表の原則が復活する、代表権付与、会349条2項、ハンドブックP407)。

廃止と同時に、定款又は株主総会で「従前の」代取を選定すると、従前の代取の地位はそのまま継続し、重任登記は不要。就任承諾も実体法上不要。代取の就任による変更の登記を申請する場合に該当しないので、代取選定議事録の印鑑証明書も問題とならない(実験済み)。代取選定議事録は、添付しないと各自代表か従前の代取のみが代表権を有するのかが判明しないので添付は必要と考えるが、登記の事由となる取会廃止とは直接的な関係が無い書面なので不要かもしれません。

廃止と同時に、定款に定めに基づく取締役の互選で「従前の」代取を選定する場合も、従前の代取の地位はそのまま継続し、重任登記は不要。就任承諾は実体法上必要だが、重任登記をしないので、就任承諾書は添付書面としては不要(ハンドブックP409)。代取の就任による変更の登記を申請する場合に該当しないので、互選書の印鑑証明書も問題とならない。互選書と定款は、添付しないと各自代表か従前の代取のみが代表権を有するのかが判明しないので添付は必要と考えるが、登記の事由となる取会廃止とは直接的な関係が無い書面なので不要かもしれません。


追記:両ケースとも、取締役会設置会社の定めの廃止登記の申請権限の問題で、誰が代取かを証明しないといけないので代取の選定書面はやはり必要なのではないかと考えます。
cf. 代表権の無い取締役の増員(互選代表制)


<商業登記規則61条6項>
代表取締役又は代表執行役の就任による変更の登記の申請書には、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。ただし、当該印鑑と変更前の代表取締役又は代表執行役(取締役を兼ねる者に限る。)が登記所に提出している印鑑とが同一であるときは、この限りでない。
 株主総会又は種類株主総会の決議によって代表取締役を定めた場合 議長及び出席した取締役が株主総会又は種類株主総会の議事録に押印した印鑑
 取締役の互選によって代表取締役を定めた場合 取締役がその互選を証する書面に押印した印鑑
 取締役会の決議によって代表取締役又は代表執行役を選定した場合 出席した取締役及び監査役が取締役会の議事録に押印した印鑑

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プラスカフェ 相続
京都市左京区 設立
司法書士 山森貴幸

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