持分について借地借家法14条の建物買取請求権は無い
持分について借地借家法14条の建物買取請求権は無い
建物買取請求権は形成権であり、行使すれば地主の意思に関わらず、建物の売買契約が成立する。
また、建物買取請求権を排除する特約は無効である。
最判令8.8.28
賃借権の目的である土地の上にある建物の持分について、借地借家法14条所定の建物買取請求権は成立しない。
賃借権の目的である土地の上にある建物その他借地権者が権原によって土地に附属させた物(建物等)の譲受人は、賃借権の譲渡の承諾又は承諾に代わる許可を得られない場合、当該譲渡を借地権設定者に対抗することができず、借地権設定者から建物等の収去及び土地の明渡しを請求されるおそれがある。
借地借家法14条は、このようなときに建物買取請求権を認めることによって、建物等についての投下資本の回収や、社会経済的効用を有する建物等の存続を図るものであると解される。
建物買取請求権を認めたとしても、借地権設定者は、建物等の時価相当額を支払うことによって建物等の所有権を取得し、建物等を譲渡して新たに借地権を設定するほか、建物等を取り壊して土地を新たな用途に供することも可能となる。
これに対し、賃借権の目的である土地の上にある建物の持分の譲渡の場合において、建物の持分について建物買取請求権が認められるとすると、一般に、借地権設定者は、その行使によって、当該建物の共有関係に巻き込まれることになる。
その結果、借地権設定者は、自らの意思によることなく、当該持分の時価相当額の負担を余儀なくされながら、建物の処分行為を自由にすることはできず、当該建物の共有者として他の共有者との調整を図りつつこれを使用又は収益することができるにとどまることになるのであるから、建物所有権の全部につき建物買取請求権が行使された場合に比して、重大な不利益を被るおそれがあるということができる。
また、建物の持分に関する投下資本の回収は、共有物分割請求をすることによって図り得ることからすると、建物所有権の全部の譲渡の場合に比して、建物買取請求権を認める必要性も乏しいというべきである。
したがって、賃借権の目的である土地の上にある建物の持分について、建物買取請求権は成立しないと解するのが相当である。
借地借家法
(建物買取請求権)
第13条 借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。
2 前項の場合において、建物が借地権の存続期間が満了する前に借地権設定者の承諾を得ないで残存期間を超えて存続すべきものとして新たに築造されたものであるときは、裁判所は、借地権設定者の請求により、代金の全部又は一部の支払につき相当の期限を許与することができる。
3 前二項の規定は、借地権の存続期間が満了した場合における転借地権者と借地権設定者との間について準用する。
(第三者の建物買取請求権)
第14条 第三者が賃借権の目的である土地の上の建物その他借地権者が権原によって土地に附属させた物を取得した場合において、借地権設定者が賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、その第三者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原によって土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。
(強行規定)
第16条 第10条、第13条及び第14条の規定に反する特約で借地権者又は転借地権者に不利なものは、無効とする。
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司法書士 山森貴幸