遺産分割は、積極財産を分割するものです。
金銭債務は、相続により当然に各共同相続人に法定相続分で承継されるものであり、遺産分割の対象とはならない。
したがって、遺産分割において債務の負担割合をどのように定めても、債権者が承諾をしない限り、遺産分割の内容を債権者に対抗することはできず、債権者に対する関係では各共同相続人が法定相続分の割合の債務を負担することになります。
遺産分割協議の中で、相続債務について言及する場合もありますが、相続債務を相続人間でどのように内部分担するかという意味しか持ちません。(相続・遺言の落とし穴 P201)
もちろん債権者は、遺産分割の内容どおりに請求することも、法定相続分の割合どおりに請求することも可能です。
実務では、遺産分割協議や調停において、相続債務を共同相続人間でどのように分担するかを確認するという意味で、相続債務の負担割合を決めることがあります。
もちろん債権者がその内容を承諾しない限りは、債権者には対抗できませんが、共同相続人間では、履行引受契約として有効です。
他方、審判においては、債権者が自ら遺産分割審判に参加し、債務の分割に同意するような特殊な事情がない限り、債務を審判対象とすることはありません。(チェックのポイント P144)
なお、遺言で法定相続分と異なる債務の相続分を定めた場合も、同様に法定相続人が法定相続分に応じた債務を承継しますが、相続債権者が共同相続人の1人に対してその指定された相続分に応じた債務の承継を承認すると、相続債権者は、法定相続分に応じた権利行使ができなくなります。(マニュアル P350)
(相続分の指定がある場合の債権者の権利の行使)
第902条の2 被相続人が相続開始の時において有した債務の債権者は、前条の規定による相続分の指定がされた場合であっても、各共同相続人に対し、第900条及び第901条の規定により算定した相続分に応じてその権利を行使することができる。ただし、その債権者が共同相続人の1人に対してその指定された相続分に応じた債務の承継を承認したときは、この限りでない。
cf. 金銭債権、金銭債務の相続
※ 本ブログは私見を含んでおりますのでお問い合わせは一切受け付けません。
プラスカフェ 相続
京都市左京区 設立
司法書士 山森貴幸